歯科医療のみらいのために(2013-08-29 10:31:34)

CDC50周年記念誌
竹内弘先生講演・歯科医療の未来のためにPart 1
(患者さんと物語を共有して)

昔(今から30~35年前)CDCは「フィロソフィーのCDC」と言われ、ある意味、揶揄されていた時代がありました。当時、世のスタディーグループは「科学的治療」を声高に叫び、CDCが大切にしていた「患者さんとという人間を中心にすえた臨床のとらえ方」は支持されなかったのです。でもCDCは「患者さんという人間を見ていく全人的医療の姿勢」を見失いませんでした。発足当初のCDCのフィロソフィーの基本は「パンキーフィロソフィー」であり「ビーチフィロソフィー」でしたが、その後「片山フィロソフィー」をはじめ多くの先生方の教えを、実に柔軟性を持って取り組みながら、今のCDCフィロソフィーが作られてきています。”歯科医療の未来のためにPart 1”と題したこのコーナーでは「CDCが長年大切にしてきたこと」という観点から、再発予防を中心に、患者目線の重要性と患者さんの思いをどう汲み取るかを意識しながら語ってみたいと思います。さて「人はなぜ病気になるのでしょうか?」歯科疾患の発症には口腔内の状況だけでなく、患者さんの生活背景や環境、生活習慣、心理的背景、全身の健康状態、ものの考え方など様々な要因が複雑に関与しています。これから一つ一つ時間をかけてほぐしていきながら改善を図り、健康状態の回復、増進していくには患者さんの心を開いた語り合いと患者さん自身が「自分の事」として問題点と向き合う姿勢が欠かせません。症例では比較的長期にお付き合いの3症例をご覧いただきながら、エビデンスとテクニックのマスターだけでは解決がおぼつかない歯科疾患の深さと難しさを感じ取ってもらえればと思います。第1のケースは初診時に口腔内や生活背景に様々な問題をかかえていた患者さんが、それらをご自分の手で克服して安定した状態をたもっているケース。第2のケースは初診時より比較的良好な自己健康管理がなされた患者さんが、いくつかの問題点に直面しながらもそれを乗り越えて良好な状態を維持しているケースで、今ではご高齢になり今後の対応を考えさせられる症例を見て頂きながら、超高齢者社会に向かっている現実をどうとらえるかを考えてみたいと思います。第3ケースは歯科的には比較的良好な状態でセルフケアされていると思われた患者さんが、次々と身に降りかかる出来事のたびに、それがダメージとなり、口腔内が壊れていったケースです。これらの症例を通して「人はなぜ病気になるのか?」を考えるきっかけにしていただき、歯科医療者の果たす役割と再発予防から長期安定への道のりを探るヒントにして頂ければと思います。

=ルーツはエンパイア歯科=

竹内弘先生は尊敬する友人として長年お付き合いさせていただいています。
歯科医師として患者さんに向かう姿勢も素晴らしく、歯科医学書だけでなく多くの書物を読まれいる人格者です。
患者さんと真剣に取り組む歯科医師として今後も活躍してほしいと願うものです。

(写真CDC 50周年記念時のもの)