『女性歯科技工士が長期勤務できるには』 を聴講して ⑤(2013-07-31 22:06:56)

『女性歯科技工士が長期勤務できるには』 を聴講して
   江東歯科技工士会会員 芦田風友乃

6月30日(日)に江東区総合区民センターにて、藤井未来先生(歯科技工所勤務)と丸山純子先生(歯科医院勤務)のお二方に、「女性歯科技工士が長期勤務出来るには」というテーマでそれぞれ講演していただきました。私は受付を手伝わせていただきましたが、会場には女性技工士、女性従業員を持つラボの方、男性技工士、また学生の方など、立ち見が出るほど本当に多くの方に来ていただきました。今回はテーマ通り、お二方とも学術や症例発表というよりも、女性ならではの悩みを持ちながら、いかにして好きなことを仕事として続けていくかを、ご自身の実体験を織り交ぜながら、女性歯科技工士とその周りの方に向け、モデルケースのように伝えて頂いたと感じました。

私たち歯科技工士は、技術職です。生涯かけて技術を磨いていく職業ですが、いつか婚期が訪れます。女性の場合は、せっかく仕事が出来るようになってきたのに退職してしまうか、いずれ出産で職場を離脱するようになります。復帰したとしても「二足のわらじ」どころか三足も四足もの役割をこなしていく環境に立たされます。家事、育児、丸山先生に関しては、そこに見守り介護が加わり、「ツリー」(自分のやらなければならない仕事を紙に書きだす手法)で結婚、出産後の女性の役割の多さが分かりました。働いていても意図せず呼び出しを受けてしまうことは、雇う側からもリスクがあります。女性はこのような背景から、やる気があっても企業から厳しい扱いを受けるのです。実際、丸山先生は採用試験で女子は採らないと言われ、藤井先生は勤務して8年後、第一子の妊娠を伝えたときに、第一声にえっ!?と言われたそうです。これは本当に傷ついたと思います。藤井先生の場合は出産後半年で職場復帰されたそうです。産休、育児制度の紹介や保育園の現状、認可保育園がなぜ良いのかなど、これから女性が知っていた方が良い情報を教えて頂きました。また、育休を利用し職場復帰すると、会社に助成金が入るなど、企業側のメリットも話されました。子守で仕事が途中になってしまった場合は、人にお願いせずに、子供を寝かしつけてから夜出勤するなど、会社にとって負担にならないように相当努力されていました。

丸山先生は家事、育児、仕事、介護の四足のわらじをしている事と、その中で優先順位が一番になってしまう介護が一番大変だったということをお話されました。それからお金をもらうという事は、仕事に対して責任を持つこと、プロである為には常に勉強すること、忙しい中、さらに鍼灸師の資格もとられましたが、ダブルライセンスは1+1=2ではなく、10倍にも、20倍にも活かせるとという事を話されました。お二方に共通して感じた事は、女性だからといって甘えていないところでした。女性だろうが男性だろうが同じ歯科技工士、周りと同じ、もしくは自分にしかできないような事を患者さんに提供するために、人一倍努力して来た事が伺えました。また主婦は管理職、合間仕事が得意といっていて、お二人ともものすごい小さな合間を見つけて、もしくは作って、うまく物事をこなしていました。藤井先生は、一人で制限されてできない事も、協力してもらうことでできる。自分のしたい事を発言し、行動する。それでもだめなら人の手も借りる。
丸山先生はうまく働くには自分のしたい事を整理して、どう働きたいかしっかりアピールする事、そうすることで雇う側も女性をうまく活用できるとお話しされ、努力+周りの仲間とのコミュニケーションでうまくやっていく、という点では同じように感じました。

お二人の働き方のモデルケースを聴いて、今後、会社側も女性技工士にうまく対応して頂ければ幸いだと思います。また、女性技工士の皆さんも希望をもって努力して頂きたいと思います。そして女性社員が子供を授かったと聞いたら、まず、おめでとうと言ってあげて欲しいなと思います。最後になりましたが、このようなテーマで講演会を開いて頂きました江東歯科技工士会と、講演していただきました藤井先生、丸山先生に心より感謝申し上げます。